まだ見ぬ戦争

うちの母は敗戦のとき十歳だった。
東京の下町で生まれ何不自由なく育ったお嬢さん。
栃木の方に疎開して、それなりに大変だったらしい。
その母が何かの折に言っていたこと。
「もう戦争だけはこりごりだ」と。


ぼくは戦争は知らない。
特に知りたいとも思わない。
けれど戦争を求める人が力を持っている社会の中で、
戦争なんて関係ないよと、言ってしまえるような
性格でもない。


でも、ほんとに、戦争なんて知らないんだ。
メディアに流されて、
知ったかぶりで戦争の話をするなんてのは
もうやめにするよ。